チロ(写真奥)とマック(山岸さん提供)
チロ(写真奥)とマック(山岸さん提供)

 僕の家には古い物置があって、春先には毎年ノラが来て子を産んだ。そいつは子猫が乳離れするころになると、子猫を1匹だけ残してどこかへ行くが、7年前に5匹を残して姿を消してからは来なくなった。

 子猫は可愛いが、すでに家猫が2匹いるのでこんなには飼えない。保健所に相談して譲渡会に出した。

 黒猫2匹はもらい手がつき、残った白いのと黒いのは家で飼うことにした。白いほうをチロ、全身真っ黒なのはマックと名付けた。

 先輩猫は老猫でおとなしいが、新参の2匹には手こずった。座敷を駆け回ってふすまを破き、仏壇を荒らし、床の間に小便する。成長するに従い多少はおとなしくなったが目が離せない。

 チロとマックはいつも抱き合って眠る(写真、奥がチロ、手前がマック。両方とも雄、7歳)。その姿はとても愛らしい。

 チロは一日中走り回り、腹を空かすと催促し、満腹すると甘えてまとわりつく。用をするのに邪魔になるが、ついなでてしまう。

 マックはよく風邪をひき、娘が入院させたりして手がかかった。娘が勤めから帰るのを待ちわびて、甘えて離れない。

 交通事故が心配で2匹とも外には出さなかったが、いつの間にか家のどこからか出入りするようになった。

 マックは毎日帰るが、チロは数日帰らないことがある。どこを歩き回るのか汚れて臭いし、草の実などをつけてくる。拭ってやるとひっくり返って腹を出し、甘える。なでてやるとすぐに眠る。憎めないやつだ。

 先日も帰らない日が続いた。夕方、家から500メートルも離れたところでチロを見かけ、呼んだが知らん顔で草むらに消えた。家に戻ると、先に帰っていて、すりついてくる。しようのないやつだが、知らない人に懐くよりはいいだろう。

(山岸重治さん/長野県/88歳/無職)

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