犬嫌いだった私が犬を飼って16年になります。

 友人がペットショップを開店し、お祝いに訪ねていったのが縁でした。

 隅っこでしょんぼりしている犬がいたのでどうしたのか尋ねると、「親と離れたストレスかも。下痢をしていて食欲もないの」。

 私が抱っこするとしがみついてきて、いつまでも離れようとしません。とうとう情が移って購入することにしました。連れて帰ると下痢はすぐ治まり、すっかり元気になりました。

 パク(写真、雄)は子どもや孫が遊びにくると、家中を走り回って喜びを表現します。何も教育していないので伏せもお手もできませんが、ただ一つ優しいところがあるのです。

 私たち夫婦はよく大きな声で夫婦げんかするのですが、その時には決まって私の近くに来たり膝に乗ったりして私の顔を見つめ、離れません。ついつい主人と二人苦笑して、結局、口げんかは収まることになります。するとパクはホッとするのか、尻尾を振って主人と私の間を往復するのです。夫婦げんかは犬もくわぬと申しますが、教えてもいないのに、パクは上手にけんかをたべてくれるのです。パクが可哀想で口げんかも小声になり、次第に少なくなってきました。

 そんなパクも16歳になり、耳が遠くなりました。目も目やにでショボショボになりましたが、毎日おやつと一緒にニンジンを食べさせていたらショボショボが消えました。
 本当に犬のおかげで夫婦の会話も増え、夫婦仲もよくなりました。朝夕2回の犬の散歩で私の足腰も鍛えられ、犬友達もふえて交流が楽しみになりました。

 パクのおかげで、優しさを持つことが大切だということも改めて知らされました。犬からの贈りものは計り知れません。

(小村よし子さん 京都府/80歳/主婦)

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