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第1254回 すべてを見抜いていた しいたけ

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 私の大切な娘、しいたけ(写真)です。彼女はウサギの平均寿命といわれる5~7歳を超え、10歳になりました。

 10年前に亡くなった母は糖尿病で両足を切断し、人工透析をしていました。

 母は子どものころにウサギを飼っていたそうです。だから、母が病院から退院してきたときに遊び相手となるよう、しいたけをわが家に迎えることにしたのです。

 しかし、母はしいたけと一度も遊ぶことなく、抱っこすることすらなく、天国に行ってしまいました。

 母が亡くなると、私は燃えつきたように無気力になってしまいました。

 葬儀の翌日、私がボケッとしていると、ガッチャンと大きな音がしました。

 行ってみると、入れてあったケージの屋根を壊してしいたけが外に出ていました。しいたけはそばにやって来ると、私の足にしがみついてきました。

 実はそのころ、私の頭の中は「後追い自殺」という言葉でいっぱいでした。しいたけはそれをすべて見抜いていたようなのです。しいたけは私を励ましてくれたのでしょう。

 このとき、私はこの子と新しい人生を歩む決心をしました。そして、病院などで母がお世話になった人々に挨拶をして回るようになったことを覚えています。

 しいたけは、それまで私に噛み付くなどしてあまり懐いていませんでしたが、この出来事を機に抱っこさせてくれるようになりました。

 人間でいうとたぶん80歳くらいのおばあちゃんでしょう。今まで本当に彼女は、母の死の悲しみを癒やしてくれました。しいたけには、一日でも長く一緒にいてほしいと願っています。彼女の長生きのためだったら、できる範囲で何でもしてやるつもりです。

(大久保敦さん 大阪府/47歳/アルバイト)

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(更新 2017/12/ 7 )


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