わが家の、「タマちゃん」(写真)です。
 10年前に主人が、公園のトイレの入り口付近に置かれた段ボール箱の中で鳴いているところを見つけました。一度は通り過ぎたのですが、子猫のあまりの小ささと鳴き声、そしてこちらを見つめる瞳にどうしても見捨てることができなくなりました。そこでまた戻って子猫を背広の内ポケットに入れ、帰ってきました。
 小さな猫の声に、2人の娘たちは何、何?と口々に言いました。主人は内ポケットの中から出して手のひらにのせ、みんなの前に。それはそれは可愛い小さな猫でした。
 目の色が緑、薄い茶色と灰色と白のミケで雌。さっそく牛乳を皿に入れて、と思いましたが、子猫は皿の中で足をバタバタさせるだけです。そこで、乳酸菌飲料のストローを使い、少しずつ口の中へ。
 名前はすぐに決まりました。主人が「わが家では代々、犬はマル、猫ならタマだ!」と言うので、誰も反論せず、すぐにみんな「タマー!」「タマちゃん☆」と呼んで可愛がりました。
 タマは主人や娘たちの後ろをついて歩き、家の中を運動会のように走ったり、じゃれたり、見ていてそれは心なごみました。
 タマを拾ってきた数年後、主人は他界しました。上の娘は結婚、出産。今では3歳になるやんちゃな孫のお世話であまり構ってやれず、タマも寂しい思いをしているかもしれません。
 しかし、おしゃべりな孫のとくちゃんが、「タマー!」と、毎日追いかける姿はほほ笑ましいものです。
 タマはみんなの車の音を聞きつけると、玄関まで迎えに出て、ドアが開くのをチョコンと待っています。トイレやお風呂など、どこまでもついてきたり、体を擦り寄せてきたり、甘えん坊のタマちゃんです。

(高橋三枝子さん 岐阜県/64歳/ヘルパー)

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