知り合いのお宅に5頭の犬がいます。コーギーのラウル11歳雄(アイラインを引いたようなくっきりした目のいい男、写真右手前)、ウィペットのレディ9歳雌(左端)、同ゼット5歳雄(中央)、2頭のウィペットの子で3歳のシルキー(雌、右奥)とセブン(雄、左から2頭目)。
 みんなお客さんが大好きで大歓迎してくれるのですが、そのすごさといったら半端ではありません。
 飼い主さんが「用意はいい? ドア開けるよ。来るよ」と言うので、「わかった」と荷物を置き、眼鏡をしまって身構えます。誰かが見たら、犬が人を襲っていると思うかもしれません。
 しがみつき、なめ回し、膝に乗り、脚の間にもぐり込み、ひたすら自分の相手をして~と、5頭で争って親愛の情を激しく表現してくれます。それはそれは情熱的に。で、10分くらい押しよせる幸福に耐えていると彼らもやっと落ち着いてきて、わらわらと解散してゆきます。私も立ち上がって眼鏡をかけなおします。
 すると、一番大きくて20キロくらいあるゼットが、足元でごろおんとヘソを天井に向け、はっはっと言いながらおなかなでなでを要求します。こんな大きなわんこがこんなふうに甘えるさまはなかなか見もの。
「そおなのお、おなかなでなでちてほちいのお」と、つい喜んでなでていると、またみんなが戻ってきて、ぼくもあたしもと、さっきの繰り返しになるのです。
 その間、飼い主さんは一生懸命1頭を抱っこし、1頭を足で止め、さらに他の子を呼びもどし……。
 私も刺激しなければいいものを、うちにも犬がいて好きなもんだから犬たちにもすっかり読まれ、用事で訪れるたびに押しよせる幸福に耐えることになります。
 いえ、もしかして用事を作って出かけているのかも。

(惠村直美さん 長崎県/51歳/公務員)

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