第25回 コミュニティーを楽しむ (1/2) |AERA dot. (アエラドット)

AERA dot.

第25回 コミュニティーを楽しむ

文・大谷由里子

プロフィール  バックナンバー

このエントリーをはてなブックマークに追加
マンガ/上大岡トメ

マンガ/上大岡トメ

 仕事でコミュニケーションやモチベーション研修のために介護施設の研修に行く機会も多い。

 そして、たくさんの認知症の人や、ただ座っているだけ、寝ているだけの人を見てきた。

 一方、わたしの周囲には、80歳になっても90歳になっても元気にイキイキと動いている人もたくさんいる。

 亡くなるギリギリまで楽しく生きている人もたくさんいる。

「あっというまだったね」と、言われて亡くなる人たちも多い。

「何が違うのだろう?」

 わたしなりに考えてみた。

 究極の見本が、わたしの母の祖母と祖父。どちらも80歳後半まで生きていた。

 ただ、祖父は70歳後半からボケだした。

 わたしたち一家は、祖父の介護を何年もすることになった。

 祖母は、祖父が亡くなってからも10年間楽しく生きた。

 40日ほど寝込んだだけであの世に旅立った。

 祖父は、元々軍人で、戦前は偉い立場にもなった。

 でも、戦争に負けて、孫の世話だけが生き甲斐になっていた。

 それ以外は、本を読んで過ごしていた。

 孫には優しかったものの、頑固で、人の話を聞かず友達もいなかった。たまに話をしても、人の批判も多かった。

 祖父には、コミュニティーがなかった。

 一方、祖母は、戦争で負けたのを機会に働き出した。

「働くって、あんなに楽しいものだと思わなかった」

 と、いつまでたっても、昔の職場の仲間と交流を持っていた。

 それだけでなく、老人会にも入り、旅行の会にも入り、詩吟にお花になんでも楽しんでいた。誰とも楽しんで、ほとんど人の悪口を言うこともなかった。

 それどころか、孫のわたしがお芝居や歌舞伎を誘うと、わたしの友人たちにくっついて遊びにきた。

 口癖は、「楽しかった」。


(更新 2015/8/ 4 )


バックナンバー

コラム一覧

続きを読む

プロフィール

大谷由里子(おおたに・ゆりこ)

 1963年奈良県生まれ。京都ノートルダム女子大学を卒業後、吉本興業に入社。故・横山やすし氏のマネージャーを務め、宮川大助・花子、若井こずえ・みどりなどを売りだし注目を集める。2003年、研修会社の志縁塾を設立。「笑い」を取り入れた「人材育成研修」は、NHKスペシャルなど多くのメディアで話題となっている。 現在は、年間300を超える講演・研修をプロデュース中。主な著書に『仕事で大事なルールは吉本興業で学んだ』(こう書房)、『はじめて講師を頼まれたら読む本』(中経出版)など多数。

おすすめの記事おすすめの記事
関連記事関連記事
あわせて読みたい あわせて読みたい