そしてソフトバンクとの日本シリーズでは、もう後がない崖っぷちの第4戦に登板し、チェンジアップを駆使して8回途中まで無安打の快投。結果的にDeNAは日本一こそならなかったが、強力ソフトバンク打線を手玉に取る浜口のピッチングは多くの野球ファンにビッグインパクトを与えた。
新人王こそ逃したが、新人特別賞を受賞した浜口。途中離脱もあり規定投球回数には届かなかったが、ラミレス監督の予言どおり10勝を挙げた。浜口の活躍なしに今シーズンのDeNAの飛躍はなかったといっても過言ではない。人間関係や指揮官の起用方法、そして年間をトータルで見るマネジメントなど、浜口を見ていると、やはり環境の大切さに気付かされる。
シーズン終了後、「密度の濃い1年でした」と語った浜口。しかし、意識はもう来シーズンへと向かっている。
「来年は150回から160回投げられるようにしたいですし、完投がなかったので5試合ぐらいを目標にします。また、フォアボールも多かったので、攻めたときはまだしも、無駄なフォアボールをなくしたい」
ラミレス監督は浜口の今後に期待しつつも、あえて苦言を呈した。これからが大事だと。
「本当に今シーズンは素晴らしい活躍だった。自信をつけたと思うが、たまに完璧を求めすぎ、セルフコントロールができなくなるときがあるので、そこに気をつければ、さらに良いピッチャーになれるはず。そして、2年目は野球選手にとって難しい年。他のチームはこれまで以上に細かい対策や分析を挑んでくるので、自分を変化、成長させないと対応ができない。もちろん浜口はそれができる選手だと信頼しているよ」(文・石塚隆)
●プロフィール
石塚隆
1972年、神奈川県生まれ。スポーツを中心に幅広い分野で活動するフリーランスライター。『週刊プレイボーイ』『Spoltiva』『Number』『ベースボールサミット』などに寄稿している。
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