激戦区で苦戦している希望の候補者はいずれも共産の協力が得られれば当選の可能性は高まっていたと思われる。55の激戦区の希望候補者は、"貧乏クジ”を引いた人が多そうだ。
希望が立憲民主党(以下は立民)に刺客を立てた選挙区でも、ほとんど「返り討ち」状態だ。
「特に小池さんのおひざ元の東京の小選挙区は悲惨だ。希望全敗もありうる。皮肉なことに小池さんに入党が認めらず、立民から出馬した東京1区の海江田万里さん、同5区の手塚仁雄さんは自民と競い合い、希望を蹴散らしている。立民旋風で比例では当選できるだろう。小池さんが調子に乗って小泉純一郎の刺客選挙なんか真似するからこんな悲惨なことになった」(別の希望から出馬した民進前職)
大阪に地盤を置く維新を中心に、野党が乱立して選挙結果の行方が見えない地域もある。奈良1区は希望の馬淵澄夫氏が5回連続当選中の選挙区だが、今回は維新と共産も候補者を立て、野党が3分裂。自民候補の小林茂樹氏にリードを許している。全国紙の政治部記者は「奈良1区は区割り変更で人口11万人の生駒市が加わり、馬淵さんはこれまでになく厳しい選挙戦となっている」と話す。
現状では野党の分裂で自公両党が漁夫の利を得ることになりそうだ。それにしても、野党はいったい何度同じ失敗を繰り返せばいいのか。希望から出馬した前議員は言う。
「野党が割れたらほとんどの選挙区では勝てない。今では共産党が最大の『自民の補完勢力』になってしまったね」
(AERA dot.編集部・西岡千史)