初の連続日本一を狙うチームでカギとなる大谷翔平選手=2016年10月25日、白井伸洋撮影 (c)朝日新聞社
初の連続日本一を狙うチームでカギとなる大谷翔平選手=2016年10月25日、白井伸洋撮影 (c)朝日新聞社

 昨季は最大11.5ゲーム差を逆転してパ・リーグを制し、日本シリーズでは広島を破って10年ぶりの日本一に輝いた日本ハム。球団初の連続日本一を狙うチームで、注目されるのはやはり「二刀流」大谷翔平だ。

 昨年オフに球団から2018年以降のメジャー移籍を容認された大谷は、現在開催中のワールド・ベースボール・クラシック(WBC)で世界の頂点に立ち、リーグ連覇、そして2年連続日本一で晴れてメジャー移籍、という最高のシナリオを描いていたかもしれない。しかし、その青写真は昨年の日本シリーズで痛めた右足首の影響で、脆くも崩れ去った。侍ジャパンのエースとして期待されながら、投手としてだけではなく、野手としても出場を断念した。キャンプイン後もしばらく別メニューの練習が続き、スパイクを履いての全力疾走を行うまで時間を要した。キャンプを終えて札幌に戻った3月1日に、ようやくブルペンに入って傾斜を使ったネットスローを行ったが、ここからの調整過程を考えても、開幕ローテ入りは絶望的な状態だ。野手としては、まだオープン戦の出場はないが、フリー打撃では鋭い打球を連発するなど、DHでの開幕スタメンが見込めるまでに状態は上がっている。投手としての復帰は、早くても5月上旬あたりで、チームは絶対的エース不在の状態で開幕を迎えることになる。

 投手陣では、昨年37試合に登板して8勝を挙げたバースが退団し、7勝の吉川光夫がトレードで移籍したが、期待値も含めてコマは揃っている。昨季2ケタ勝利の有原航平、高梨裕稔は健在で、日本シリーズでも登板したメンドーサ、加藤貴之も順調な仕上がりを見せている。さらに新戦力として多彩な変化球が武器のエスコバー、15年ドラフト1位の上原健太の両左腕に、米国から復帰した村田透もローテ入りが見込める状態で、何かと話題の斎藤佑樹がボーダーラインにいる状況だ。昨季、先発に転向して10勝した増井浩俊がリリーフに再転向し、同じWBC組の宮西尚生と左右の切り札が揃うブルペンも、高いレベルでの争いが続いている。抑えの筆頭候補であるマーティンの出来が鍵を握りそうだ。

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