全国の大学で学園祭が真っ盛りだ。爽やかな快晴に恵まれた11月3日(木)、東京都練馬区にキャンパスを構える日本大学芸術学部(以下、日芸)でも学園祭「芸術祭」が開幕し、毎年恒例のミスコンテストのファイナリスト5名のお披露目が行われた。だが、その様子が少々尋常ではない。
壇上に登場したファイナリストたちは左から女性、女性、女性、女性、そして……男性? 177センチの長身に黒を基調とした和風ドレス、ニーソックス、ヴェールを身に着けたそのスタイルはさながらスーパーモデルのようで妖艶さすら漂うが、そのご尊顔をまじまじと見てみると男性で間違いないようだ。
彼は映画学科3年・林田常平さん。一見すると、男子学生が悪ノリで参加したのだろうか……というような勘ぐりも働くが、それは誤解だ。そもそも“男子もエントリーするミスコン”が開催された背景には、「普通ではないことが普通」を校風とする日芸ならではの信条があった。今年のミスコンを企画した学園祭実行委員会の下村美雨さんは語る。
「これまでの日芸のミスコンは、他の多くのミスコンがそうであるように、容姿に重点を置いた選考を行ってきました。しかし、改めて女の子の魅力ってなんだろう、ひいてはこの学校の学生の魅力ってなんだろう、と考えたとき、容姿だけで順位が決まってしまうのはもったいないと思ったんです。この学校には個性的で魅力的な学生が大勢います。こうした多様性が『日芸らしさ』であり、それを知っていただけるようなミスコンにしたかった。この考えを突き詰めた結果、性別は不問という形になりました」
こうした方針は、ファイナリストのお披露目で行われた催しにもよく現れている。例えば、バラエティー番組などでおなじみの、箱の中身当てクイズ。ファイナリストたちは中が見えない状態の箱に手を入れ、感触や形状から何が入っているのかを当てた。生卵などのキワモノが入った箱もあり、悲鳴や奇声が飛び交った。また、壇上での大縄跳び。最後まで飛び続けた者は通算100回以上も飛んでおり、直後のインタビューでは息も絶え絶えの様子で司会者の質問に答えていた。
ミスコン参加者のおびえた顔や汗まみれの顔を見る機会などなかなか貴重だが、確かにこうした催しによって各人の生き生きとした魅力が浮かび上がってくる。ただほほ笑んでいるだけではわからない、それぞれの個性が見えるのだ。