国費留学生で、日本政府から奨学金の出るスガルさんはともかく、私費留学のウグームルさんとハガワチャワさんはアルバイトで生活費を稼ぐ必要があった。来日間もなく言葉がわからない当時は、何度も面接で断られたという。それでもウグームルさんはコンビニで、ハガワチャワさんはウエートレスとして働く場所を見つけた。
「日本語だけの環境でアルバイトとして働いたことで鍛えられました」と語るウグームルさんの日本語は、日本人の若者よりもしっかりとしており、流ちょうだ。
それぞれ苦学してきた彼らからすると、若い世代の日本人はずいぶんとぜいたくに、脆弱(ぜいじゃく)に映る。
「食べ物に対してまずいと文句を言ったり、1時間程度の通学時間で根を上げたりする。同じ学部生の日本人の中には、自転車のパンクを直せない人もいました。機械工学が専攻なのに。それに日本人は全員が真面目だと思っていましたが、来てみると授業中に寝ている学生ばかりでびっくりしました。必死に頑張らないと日本人についていけないと思っていたので、これにはちょっと安心しましたが」(ウグームルさん)
「日本人は個人ではなく団体で動きます。チームの文化です。それは震災のときなどにはいい方向に働きますが、もっと個性を示しても、自分を出してもいいと思います。反対にモンゴル人はまとまらない。チームスポーツは本当に弱い(笑)モンゴルが強いのは相撲やボクシング、射撃など個人競技ばかり」(スガルさん)
「相撲を見ても、日本は外国人を受け入れ、認める人々だと実感します。もしモンゴル相撲で外国人が勝ち続けたら、きっと問題になるでしょう。どうして外国人がいるのかと。日本は違います。なぜ日本人力士は勝てないのか、と、そういう発想をする日本人は素晴らしいと思います」(ウグームルさん)
ただ、どこまで受け入れてくれても「外国人」という枕詞(まくらことば)はあまり外してくれない。「外国人なのに」それだけ勉強できてすごいねなどと言われてしまう。どうしても個と個のつきあいになりにくい。そこがちょっとだけ寂しいと3人は言う。