“隠れ貧困”に陥らずに安心な老後を迎えるために必要なこととは?(※イメージ写真)
“隠れ貧困”に陥らずに安心な老後を迎えるために必要なこととは?(※イメージ写真)
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経済ジャーナリストの荻原博子さん
経済ジャーナリストの荻原博子さん

“隠れ貧困”という言葉を知っているだろうか?

 経済ジャーナリストで、その名もズバリ『隠れ貧困』(朝日新書)の著者でもある荻原博子さんが提唱するこの言葉は、パット見には人並みの生活でも、なぜか貯金ができず、将来が不安だという世帯を指す。

 高血圧を放置すると重篤な病気になる恐れがあるように、貯められない「隠れ貧困」は、やがて「下流老人」に至る危険なお金の生活習慣病だと、荻原さんは指摘している。

特にバブル時代に青春を謳歌した50代は「ワンランク上」に弱く、プライドを守るために見栄を張り、隠れ貧困に陥る傾向が高い。いっぽう、バブル崩壊後の「失われた20年」に就職した40代前後は、厳しい時代を堅実に生きてきた思いから、子どもの教育に力を入れすぎてしまう傾向にあり、教育費が生活費を圧迫する事態を招くことが多いという。

心当たりのある人も、そうでない人も、まずは“隠れ貧困”度をチェックしてみよう。下の項目で、当てはまる項目はどれだろうか。

1.生活費は苦しいが、年1回の家族旅行はリッチに行きたい
2.月に3回以上、自分にごほうびを贈る
3.給料日前でも、ママ友とのランチを断れない
4.子どもは3つ以上の塾・習い事をしている
5.子どもの教育費などは、親から援助してもらっている
6.住宅ローンを払い終わるのは、65歳以降だ
7.月々の生活費の赤字(年間30万円以上)を、ボーナスから補てんしている
8.生命保険は勧められるまま、3年ごとに見直しをしている 
9.年間の貯蓄額より、保険料のほうが多い
10.貯蓄はない

 当てはまる項目が1~3個だった人は「隠れ貧困度10%」。健全な家計をキープしながら、次は、貯まる仕組みを作ろう。4~7個の人は「隠れ貧困度50%」で、このままでは貧困街道へまっしぐら。立ち止まって、家計の総チェックをする必要がありそうだ。8~10個の人は「隠れ貧困度80%以上」で、すでに隠れ貧困の可能性が? 家計の大改造が急務といえる。

 荻原さんは、年収よりも貯蓄額が大切だという。

例えば40代の男性、中堅銀行勤務で年収約800万円はまさに「勝ち組」だ。しかし、40代といえば就職の苦労は並大抵ではなく、だからこそ、子どもにはより良い教育を施したい。加えて、住宅ローンや月々の赤字の補てん、帰省費用などでボーナスは消えていく……。気がつけば貯蓄ゼロ! という家庭が、実は多く存在するのだ。

「老後までに××円貯める」といった記事も多く出回っているが、“隠れ貧困”に陥らずに安心な老後を迎えるために、30代、40代は、何を目標にしたらいいのだろうか?

 それはズバリ「50歳でプラスマイナス・ゼロ」。50歳で貯金はないけど借金もないという状態が、老後の勝ち組だというのだ。

 荻原さんは、目標は55歳でも57歳でも構わないという。何より大切なのは「借金減らして、現金増やせ」であり、その先のことは、老後になってから現金を前にして考えればいいのだという。

「早いうちから老後の計画など立てても、20年経てば、世の中のほうがガラリと変わるかもしれません。老後の方針は、50歳から65歳で決めたほうがその後のブレが小さくなります」(荻原さん)