さらに佐藤氏は、NSCが機能するようになることで、日本が積極的に戦争をする場合もありうることが、NSC設置法の条文を読めば明らかだと懸念を示している。
こうした状況下でも、戦争を起こさせないために国民ができることはないのか。佐藤氏は、国 家と個人の間に位置づけられる「中間団体」を作ることを提唱している。
佐藤氏は、気の合う友人同士や、ボランティア団体といった、社会の中に存在する小さな団体のことを中間団体と呼び、その中間団体が強くなることで、社会全体が強靭になるのだと説いている。
個人個人バラバラだと、国家が国民にさまざまなことを強制し始めたときに拒否することは難しいが、こうした中間団体を作っていけば、国家との間に良い意味で緊張感が生まれ、お互いに建設的な関係を築いて行ける、と言うのだ。
戦後70年を迎え、「戦争を正面から考える」ことは避けられない今、同書は我々が“国家のエゴ”に振り回されずに生きるための必読の1冊となっている。