2014年のAKB48選抜総選挙で5位に入った松井玲奈さん(SKE48/乃木坂46、23)は、「新幹線フェチ」としても知られる。きっかけは3年ほど前、JR東海の博物館「リニア・鉄道館」(名古屋市)で出合った新幹線「0系」だ。
「(博物館の)係の人から、『新幹線には顔があって、0系はコアラに似ている』って言われて、確かに似ていると思って」(「AERA」14年8月25日号)
1964年に登場した0系は、高速運転を実現するために空気抵抗を減らすべく、当時もっとも理想的な流線形とされていた航空機を模してデザインされた。車両工場での試運転を伝える朝日新聞記事(62年4月26日)では、
<流線形の最前部には警告用として直径1メートルほどの大きなプラスチック球に包まれた前灯がついて、「汽車のオバケだ」という声もあがるほど>
と表現されている。
その後、85年に「100系」、92年に「300系」と後継車種が続々登場するが、その間も0系は現役として走り続け、東海道新幹線では99年、山陽新幹線では2008年まで活躍した。
後継車輛の前面部は空気抵抗をさらに減らすため、どんどん細くとがっていった。ただ、前面部が丸みを帯び、「団子っ鼻」として親しまれた0系は、営業運転から完全引退した今でも、全国各地でその雄志を見ることができる。
“余生”の過ごし方はさまざまだ。福岡市の「さつき幼稚園」は1990年に0系を購入し、園舎として使っている。約四半世紀たった今も、子どもたちの人気は高い。
「男の子は図鑑などで0系を知っているので、『これが本物か』と興奮。女の子は『正面から見た顔がかわいいね~』とかわいがる感じです」(北口裕美主幹教諭)
青梅鉄道公園の0系は、詳細な時代考証で話題を呼んだ映画「ALWAYS 3丁目の夕日’64」で使われた。さいたま市の「鉄道博物館」にある0系は、開業当時と同じ姿に修復。団子っ鼻は光が透過しやすいアクリル製に取り換えられ、両脇の標識灯の光によって鼻が光っているように見える。
海外では、英国ヨーク市の「国立鉄道博物館」が0系を収蔵。今後は2016年開館予定の「京都鉄道博物館」にも展示される予定だ。ちょっと違うが、JR四国の予土線で今年3月から走っている0系新幹線をかたどったディーゼルカーも、一見の価値あり?