苦しむ中でシーズン終盤に勝利を掴んだ高梨沙羅 (c)朝日新聞社
苦しむ中でシーズン終盤に勝利を掴んだ高梨沙羅 (c)朝日新聞社
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 3月12日のW杯第17戦トロンハイム大会が前日の予選を行われた後で中止となり、その後のニジニ・タギル大会とチャイコフスキー大会を含めた残りの試合がキャンセルとなってシーズンを終えた女子ジャンプ。高梨沙羅は帰国後の19日に、以下のコメントを発表した。

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「コロナウイルスの影響で残りの試合がすべてキャンセルになったため、今シーズンが終了しました。まだまだ試したいことはありましたが、世界の状況が大変な中で、ギリギリまで試合をさせていただいて幸せに思います。2019-2020も厳しいシーズンでしたが、その中から学んだことを来シーズンにつなげていきたいです。たくさんの応援、ありがとうございました」

 平昌五輪明けの昨季は道具も含めて新しい取り組みを始め、「まっさらな状態から始めたので、何が正解なのか自分でもよくわからないまま飛んでいた」と話していた。そんな状態ながらもW杯24戦中優勝1回、2位4回、3位5回で総合は4位と、平昌五輪優勝のマーレン・ルンビー(ノルウェー)や2位のカタリナ・アルトハウス(ドイツ)、一躍力を発揮し始めてユリアネ・ザイファルト(ドイツ)に食らいつく戦いをしていた。

 そして助走の滑り出しから飛び出しのカンテまでの流れをしっかり作ることを目標にしてシーズンインした今季は、ラージヒルの試合が多くなったことも影響してか、開幕からの3戦は、第2戦で3位になった以外は9位と4位という滑り出しとなった。

 それでも第3戦クリゲンタール大会から第4戦札幌大会まで1カ月間空いた中の練習で、「助走のスタートの切り出し方を変え、それが上手くハマりつつあるかなという感触を持てた」と、札幌大会では飛び出しまではスムーズな流れになっていた。それが第6戦蔵王大会2位という結果になってあらわれたのだ。

 だが「助走は安定してきているので、滑り出しから飛び出しまではまとまってテイクオフでの迷いはなくなってきた」と話していたが、ジャンプ台にしっかりパワーを伝えて力強く飛び出すルンビーやアルトハウスに対抗するために昨季から意識していた取り組みの方は、まだもう少しという状態。「ジャンプはまとまってきたがまだ自信を持って踏み切ることが出来ていないので、空中に出た時もそれが出てしまってスキーが不安定になる。もう少し力強いジャンプになっていけたらいいと思う」と不満の表情を見せていたのだ。

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来季へ向けての大きな勝利