野田佳彦首相は近く、民主党の小沢一郎元代表と会談することになっている。ジャーナリストの田原総一朗氏は「小沢氏は野田首相がいかに頼もうとも『消費増税』に乗らないはずだ」と指摘する。賛成すれば「彼の政治生命は終わってしまうから」だ。このことがわかっていないのは、日本でただ一人、野田首相だけだという。

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 今国会の会期末は6月21日。そして野田首相は早くから、「消費増税に政治生命をかける」と繰り返し強調している。それでいて、小沢氏に会うこと以外、何の具体的作業もしていない。国民のほとんどは、そんな野田首相にいら立ち、なぜこんなに先送りするのかとあきれている。

 だが、肝心の野田首相には、作業が遅れている、あるいは先送りにしているという認識がまったくない。彼は確実に前に向かって進んでいるつもりなのだ。ここが神経の構造が決定的に違っているところである。

 そして小沢氏の賛成が得られなかったとき、初めてこの方策はうまくいかなかったと自覚する。そして、どうすればよいかと考える。

 時間をかけて考えた末に、自民党と組む手があると思いつく。

 ともかく国民は「消費増税」の方策について、既にグラウンドを3周以上も走って、どのようなゴールが待っているのかと気をもんでいるのに、野田首相はまだ半周にも達していないのが現状だ。

 さて、自民党と組むにはどうすればよいのか。そのことを考えている最中に、国会の会期末が来てしまうのではないか。

※週刊朝日 2012年6月8日号