(写真1)藤本さんの「シェア個室」。ひとつの個室を家族全員でシェアしている(写真提供:イトーキ 以下同)
(写真1)藤本さんの「シェア個室」。ひとつの個室を家族全員でシェアしている(写真提供:イトーキ 以下同)
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(写真2)平社さんの「キャスター付きボックス」。仕事道具はまるっとこちらへ
(写真2)平社さんの「キャスター付きボックス」。仕事道具はまるっとこちらへ
(写真3)平社さんの書斎にある「ゲーミングチェア」。長時間座っていても、体への負担が少ない
(写真3)平社さんの書斎にある「ゲーミングチェア」。長時間座っていても、体への負担が少ない
(写真4)川島さんのローテーブル。天板の高さが変えられるので、リビングも仕事場にできる
(写真4)川島さんのローテーブル。天板の高さが変えられるので、リビングも仕事場にできる
(写真5)川島さんのダイニングテーブル。壁際に寄せると、ちょっとした書斎スペースの完成
(写真5)川島さんのダイニングテーブル。壁際に寄せると、ちょっとした書斎スペースの完成
(写真6)このくらい小さなスペースでも仕事はできる
(写真6)このくらい小さなスペースでも仕事はできる

 新型コロナの影響でリモートワークが推進されているが、自宅に書斎がある人は少ない。そこで、オフィス家具メーカー「イトーキ」の商品開発者が、初心者向けのホームオフィスのつくり方を伝授。ステイホーム週間にひと工夫してみませんか?

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 ホーム家具のデザインや開発をする藤本有希さんは以前、鎌倉市の住民とともに、テレワークに適した家具を研究した。その際、ホームオフィスをつくるには3つのポイントがあることに気づいたという。まずは、その「鉄則」からご紹介。

 1つめは「こもれる場所」をつくること。といっても、個室が必要というわけではない。衝立など目線を遮断できるものを用意するだけでOK。目線が隠れたら、取り込んだままの洗濯物やキッチンの洗い物も見えなくなるから、目の前の仕事に集中できるという。

 2つめは、家のなかに仕事をできるスペースを複数作ること。最近はオフィスでも、仕事の内容や目的によって働く場所を変えるのがトレンド。集中したいときはブースのような空間へ、コミュニケーションが必要であればオープンスペースなど、多様な場が用意されている。それを自宅でも応用する、という考えだ。

 結果として「生活と仕事を切り替える」ことが3つめのポイント。先の衝立などを通じて、ONとOFFを意識的に切り替えていく。

■「家族で個室をシェア」という発想

 さて、この鉄則をマイホームオフィスに生かすとどうなるか。働く場づくりのプロであるイトーキ社員たちの、マイホームオフィスを紹介しよう。

 前出の藤本さんは、妻と子ども2人の4人暮らし。自分の書斎はないため、特にオンライン会議のときは「籠る」場が必要だ。取り入れたのは「ひとつの個室を家族でシェアする」考え方(写真1)。

「子ども部屋があったのですが、子ども専用の部屋にするのではなく、家族でシェアする個室、と捉えました。机を我が家のシェアデスクにし、『使い終わったらきれいにする』をルールに、交代で使っています。オフィスの会議室と同じように、予約制にするのもいいかもしれませんね」

 一方、藤本さんと同じくホーム家具のデザイナー、平社直己さんの家には自分用の書斎がある。だが、ときにダイニングなどで仕事をすることもあり、家に複数の「勤務場所」がある形だ。そんなときに役立つのがキャスター付きのボックス(写真2)。

「PCと周辺機器、書類などを入れて、仕事場所に運びます。ダイニングテーブルで仕事をしても、ご飯のときにはこのボックスにしまう。慌てて片付けると書類が見当たらなくなりますが、ボックスを探せばいいので効率的です。キャスター付きだから簡単に動かせて便利。我が家ではとても重宝しています」

 ちなみに書斎には、体への負担を配慮し、ゲームを長時間プレイするゲーマー向けの椅子「ゲーミングチェア」を導入した(写真3)。

「私が使っている椅子は135度までリクライニングができるもので、短時間の休憩にも便利。また、高さが変えられるひじ掛けがついていることも大事で、奥行きのないデスクでも、ひじを置いてキーボードやマウスの操作ができるので肩の疲れが減ります。さらに足の長さに合わせて座面の高さも変えられるので、姿勢を維持しやすくなるのです」

 書斎がなく、夫婦二人とも在宅ワークの場合、リビングやダイニングを仕事場にする人も多いだろう。イトーキの広報、川島紗恵子さんはリビングとダイニングそれぞれに仕事スペースを確保。リビングでは、天板の高さを調節できるローテーブルを愛用している。たとえばソファしかない家なら、テーブルの天板を少し高くして、リビングで仕事をするのもいい(写真4)。ダイニングテーブルを壁際に移動させると小さな書斎スペースも完成。ワークチェアには、ファブリック素材のゲーミングチェアを選んだことでインテリアにも馴染むという(写真5)。

「その日の気分によって、夫と交代で仕事スペースを選んでいます」

■思った以上に小さなスペースで、仕事はできる

 前出の藤本さんは以前、地域住民を巻き込んで「どのくらいのスペースがあれば仕事ができるのか」をリサーチし、スモールサイズのデスクをつくったことがある。天板のサイズはなんと、30センチ×40センチほど(写真6)。

「きっと、皆さんが想像するより小さいですよね。でも、このスペースさえ確保できたら、家で仕事はできるんです。ホームオフィスづくりは、いまの自分の生活に合わせて、取り入れられそうなもの・ことから始めていくと上手くいきます」

 書斎がなくても、家の中にあるスペースを活用して、自分なりのホームオフィスは作れる。少しのツールと工夫で、理想のマイホームオフィスを実現してみては。 (文:カスタム出版部 写真提供:イトーキ)