総長候補のライバルとされた東京高検の黒川弘務検事長(右)と名古屋高検の林真琴検事長(左)
総長候補のライバルとされた東京高検の黒川弘務検事長(右)と名古屋高検の林真琴検事長(左)
この記事の写真をすべて見る

 東京高検の黒川弘務検事長の定年延長、検察庁法改正案をめぐり大揺れとなった国会。安倍政権は世論の反対に押され、今国会での検察庁法改正を断念した。しかし、週刊文春が黒川氏の賭け麻雀疑惑を5月20日、報じてまたも大揺れとなっている。かつて黒川氏を担当した記者はこう話す。

【写真】黒川人事で森法相と呉越同舟なのは?

「黒川氏は昔から担当記者を集めては麻雀をするのが、大好きだった。麻雀ができる記者を黒川番にしていたマスコミもある。カジノをするためにマカオまで行ったと聞いたこともある。こんなに偉くなっても、やっていたんだと驚いた」

 文春記事では麻雀のためにマスコミの車で送迎をしてもらっていることも報じられている。自民党幹部は怒りをこう露わにした。

「コロナで不要不急と言っている時に、賭け麻雀はシャレにならない。法に触れかねない。定年延長しても検事総長なんて無理。もってのほかだ。黒川はいったい何やってんだ。何のために定年延長したのかわかってんのか。すぐ辞めなければ、安倍政権にも影響する。このまま黒川氏に残られたら、稲田伸夫検事総長が並々ならぬ意欲を燃やしている河井克行前法相夫妻の捜査にも影響してくる」

 厳しい声が出ているのは自民党だけではない。検察中枢からも同様の意見が出ており、辞職は避けられないとの見方だ。

 一方、公職選挙法違反で逮捕された河井案里参院議員の秘書の裁判が5月19日、広島地裁で開かれた。

 案里氏の公設秘書、立道浩被告は昨年7月の参院選挙で運動員(ウグイス嬢)に定められた上限の2倍、日当3万円を支払っていた公選法違反(買収)に問われている。

 初公判では認否を留保した立道被告。この日は罪を認めて、「違法な報酬を支払った」と述べる一方で「日当は河井事務所で決めたものだ」として、主犯ではなく従属的なほう助犯であると主張した。

 続けて被告人質問が行われ、「日当は支払いを求められたので、会計担当者にウグイス嬢の稼働日数や報酬金額を書いて渡しただけ」と違法な報酬の支払い判断には関与していないと主張した。

 かつては、河井克行衆院議員の秘書だった立道被告。

次のページ
ターゲットは河井前法相