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 新型コロナウイルス感染拡大防止のためのリモートワークの急速な導入で、「画面」を通した人との会話が急激に増えています。ネット状況にもよりますが、多少のタイムラグのせいで相槌のタイミングや会話のテンポが、同じ空間でするのとはだいぶ違うと戸惑う人も少なくないでしょう。ふだんから、見えない相手であるリスナーに向けて会話をしている、人気ラジオDJで著書に『いい空気を一瞬でつくる 誰とでも会話がはずむ42の法則』がある秀島史香さんに、リモートでの会話のコツを聞きました。

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 ラジオでは、番組によっては電話や公開収録などでリスナーさんとコミュニケーションをとることもありますが、基本はラジオの向こう側のみなさんを想像しながらお話ししています。

 同じ空間に居なくても、距離を感じさせないように気を付けていることは、臨場感とこの人の話に耳を貸そうと思わせるための工夫です。これは、リモートでのコミュニケーションとも通じるところがあるのではないでしょうか。

 もっとも大事なのは、聞いていて落ち着く声で、相手が心地よいと感じるであろうスピードとテンポで話すこと。さらに、大事なのが自然な「間」です。

 一番簡単な方法は、スマホのボイスメモ機能などで自分の声を録音して、まずは3回聞いてみること。すると自分のクセがわかります。これは、私が新人時代に実際にしていたことです。「私はこんな変な話し方をしているのか」とガックリする気持ちもありますが、それこそが、まわりの人が聞いている自分の話し方であり、自分の印象です。

 当時の私は、サ行がくぐもって聞こえる、文章の終わりが焦って駆け足になってトチる、出だしで力みすぎて第一声が裏返る、といったクセがありました。録音した自分の声を客観的に聞き、重箱の隅をつついてみることで、失敗パターンにも気づけますし、どうすれば相手が聞きやすいかもわかってきます。

 オンラインでは、音声がいつもと違ったり、伝わるのに一拍遅れたり、画面にずらりとならんだ顔の表情が気になったり、モニターに映る自分自身の様子を気恥ずかしく感じたり、さまざまな要素で注意力が散漫になり、いつも以上に自分の話しグセが出やすくなります。だからこそ、自分のクセを把握しておくことで、余計なノイズを減らすことができます。その分、言いたいことがはっきりと伝わり、会話がスムーズになるはずです。

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相手との話の「間」は…