ただ巨人に関しては毎年のように他球団の主力クラスを補強しており、岡本和真クラスでないとなかなか抜擢されないというのはもどかしいところである。かつて“育成の巨人”を目指したときのような切り替えができるかに注目したい。
巨人以外で目立つのは広島だ。アドゥワ、遠藤、山口は昨年一軍でも勝利をマークしており、ルーキーの森下も即戦力として期待できる。野手では昨年終盤レギュラーに定着した小園に続いて林、羽月といった高校卒の若手が二軍で結果を残しているのがプラス材料だ。
一方で寂しい結果となったのが阪神。一軍で結果を残している選手が圧倒的に少なく、二軍でも若手の絶対数が不足している。昨年のドラフトでは1位から5位まで高校生を指名しているが、それも当然と言えるだろう。
全体的には昨年下位に沈んだ3球団の方が若手選手については楽しみな顔ぶれが揃っている印象だ。ここ数年のうちに上手くレギュラーが入れ替われば、リーグ全体の勢力図も大きく変わる可能性が高いだろう。(文・西尾典文)
●西尾典文/1979年生まれ。愛知県出身。筑波大学大学院で野球の動作解析について研究。主に高校野球、大学野球、社会人野球を中心に年間300試合以上を現場で取材し、執筆活動を行っている。ドラフト情報を研究する団体「プロアマ野球研究所(PABBlab)」主任研究員。