女性皇族が結婚後も皇族の身分にとどまる「女系宮家」の創設に向け、政府による有識者のヒアリングが始まった。2月29日の第1回に招かれたのは、歴史家の今谷明帝京大特任教授(69)と、ジャーナリストの田原総一朗氏(77)。そこでは言い足りなかった女系天皇への思いも含めて、田原氏が自身の皇室観を語った。
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日本では天皇制をなくせという意見が主流となったことは一度もなかったのです。少なくとも千数百年にわたって続いてきた世界に類のない天皇制というシステムは、日本の国民自身が選び取り、守ってきたと言えるでしょう。
私も若いころは、天皇に戦争責任があるという立場から、天皇制は廃止すべしと公言していました。しかし、年を重ねるにつれて、これだけ長く続き、日本の安定に資してきた制度をむざむざ廃止することはないと思うようになりました。
そのためには、女性宮家を創設すべきだし、必要があれば女系天皇も大いに議論すべきだというのが、いまの私の考えです。
若い世代の皇室への関心は薄まっています。そうした中でこうしたヒアリングが行われ、天皇とは何か、象徴天皇はどうあるべきか、ということを国民が広く議論するのは、非常に有意義なことではないでしょうか。
※週刊朝日 2012年3月16日号