「この作業で1時間もかかるとは思えない」「次の打ち合わせまでの時間が空きすぎている」「もっと、仕事がこなせるはずだよね」といった発言をFさんは部下にするようになりました。自分が目の届く場所にいないのだから、仕事に集中できていないと思い込んでいるのでしょう。ただ、コロナで出社を強要することはできない。そこで「さぼらずに、しっかり仕事をするように」との指導をするつもりで、このようなコメントをしているのかもしれません。

 一方で部下にしてみれば勘弁してほしいとの感情を抱くかもしれません。リモートワークはさぼるどころか、むしろ忙しい状況になっている場合が多いからです。

 これまでは会議や打ち合わせでも社内で移動時間がありました。ところがリモートであれば連続して行うことが可能。さらに作業も周囲から声をかけらえないので集中して行えます。むしろ、仕事に集中して、無駄な時間を最小限におさえた状況にすることが可能です。

 ちなみにFさんの部下である広告代理店の知人はリモート活用でクライアントとの打ち合わせ件数は増加。提案書の作成スピードも向上していると話してくれました。筆者が取材した別の方も、さぼるどころかリモート環境でハードワークが続き、体調不良になりかけたようです。意外と真面目に、かつ、効率的に仕事をしている人がたくさんいるのです。

 ところが、そのように前向きな仕事ぶりを想像できない上司は「さぼるな」と意欲を下げるコメントを連発。

 ただ、こうした不安を感じている上司はFさんだけではなく、相当数いるようです。パーソル総研が行った上司層へのアンケートでも、部下が「仕事をサボっているのではないかと思うことがある」と答えた割合は40%にも上っています。ちなみに部下も「仕事をサボっていると思われていないか」不安を抱きながら、リモートワークをしている人が多いことも、同じアンケートからわかります。

 こうした不安な思いを払拭し、上司に勘繰られないようにするにはどうしたらいいのでしょうか。

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