新しいビジネスを次々に打ち出して、チャレンジャーの標本のようになっている堀江貴文は「チャレンジすることに意味はない。同じことをやっていると飽きるので、新しい、好きなことをやっているのですよ」と語り、私が「新しいことにはリスクがあるので、多くの人間はチャレンジしない」のだと言うと、「リスクはあっても、つまらないよりマシではないか」と答えた。

 1987年生まれで、ライブ動画配信サービスSHOWROOMを設立した前田裕二。会員登録者数は350万人にも達し、若いベンチャービジネスの代表的存在になっている。彼は「私がSHOWROOMを立ち上げたのは、金をもうけるため、というよりも、新しいビジネスを立ち上げることで、社会を変えたかった」と語った。

 そういえば、1990年以後、つまりバブルがはじけて以後に、ベンチャービジネスを立ち上げた経営者たちの多くが、「社会を変えるために起業した」のだと話している。ソフトバンクの孫正義、楽天の三木谷浩史、DeNAの南場智子、キャンプファイヤーの家入一真らも、同じ意識の持ち主のようである。

 土光敏夫、稲盛和夫、牛尾治朗、樋口廣太郎、堤清二、堤義明、諸井虔、小林陽太郎、飯田亮、中内功、丹羽宇一郎、鈴木敏文、堀紘一ら、とにかく強く印象に残った経営者100人を選んで、私を“唸らせた言葉”を紹介したいと考えたのである。

■田原総一朗(たはら・そういちろう)/1934年生まれ。ジャーナリスト。東京12チャンネルを経て77年にフリーに。司会を務める「朝まで生テレビ!」は放送30年を超えた。『トランプ大統領で「戦後」は終わる』(角川新書)など著書多数

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