ドラマは、決めゼリフの「倍返し」が新語・流行語大賞を受賞するなど社会現象化した。権力に立ち向かう半沢の姿が共感を集め、今回のシリーズでもますます強大となった相手を前に“スカッと”させてくれている。
「昔、やくざ映画を見終わった帰り道に、思わず肩で風を切っちゃうみたいなこともありました。うっぷんのたまった人が増えているという印象を受けます。半沢直樹は、そんなみんなが持つうっぷんのようなものを代弁してくれていますが、それをそのまま真似るのは適切ではないですね」
怒りの感情と上手につきあう心理トレーニングを提唱する、日本アンガーマネジメント協会の安藤俊介代表理事は語る。
ただ、仕事をしていると腹の立つことも起きる。協会はこのため、一呼吸するほどの間をとってから話す「6秒ルール」を推奨している。
「気持ちが大きくなったときには言えるけれど、弱っているときには言えないというのではなく、『本当に言わなければならないこと』を考え、自分の状態に関係なく言えるように心がけるとよろしいかと思います。私たちには理性があります。感情に支配された状態で言うのは良くないですね」
実社会での“半沢ごっこ”には、くれぐれもお気をつけください。(本誌・太田サトル)
※週刊朝日 2020年9月18日号