本来、NTTにはNTT法が存在し、競争上、優位にならないよう分割化された経緯があるはずだ。澤田社長は「会社の分割はNTT東西を中心とした論であって、ドコモの完全子会社化は文脈が異なる。今回の件は規制当局や総務省にも説明を行い、法制度上問題ないと認識している。ドコモのシェアも下がっており、問題ない」とした。

 NTTとすれば、ドコモを掌握することで5Gや6G時代に向けて国際競争力をつけたいという狙いもある。アマゾンやグーグルがクラウド事業で日本市場を侵食する中、NTTグループの存在感が薄れているのは間違いない。

 また、5Gで中国企業が世界進出を果たす中、アメリカ政府が中国のファーウェイを排除するなど、国と通信業界は切っても切れない仲になろうとしている。すでに5Gでは世界に大きく取り残されている日本だが、6G時代に向けて巻き返すには国とNTTが二人三脚になる必要性を感じたのだろう。(ジャーナリスト・石川温)

【首相ゴリ押し「菅製値下げ」が愚策と言えるこれだけの理由 「端末代より通信代」固執の大罪】へ続く

AERA 2020年10月12日号より抜粋

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