子役時代から現在まで、圧倒的存在感で人気を集める俳優の芦田愛菜さんがAERAに登場。俳優歴10年を迎える芦田さんが、現在の思いを語った。AERA 2020年10月12日号から。
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本誌表紙フォトグラファー・蜷川実花に、深くお辞儀をしてからカメラに向かった。丁寧なあいさつ、そして蜷川の言葉に真摯(しんし)に向き合う姿に、背筋が伸びる思いがする。
主演映画「星の子」で、新興宗教に傾倒する両親を持つ中学生・ちひろを演じた。同級生や想いを寄せる教師との関係のなかで、ちひろの心は揺れる。言葉にならない感情をまなざしや佇(たたず)まいで表現する、難しい役どころだ。「すべてをわかりやすく伝えることだけがお芝居の面白さではない」と、身をもって知ることができた現場だったという。
「演技はプラスするだけでなく、マイナスすることも大切なんだ、と改めて感じました。ちひろも、気持ちが落ち着いているときもあれば、急に感情が爆発するときもある。ときに引き算していくことも演技には必要なんだ、と」
俳優歴は10年を迎えた。実質的なデビュー作であり自身の原点とも言えるドラマ「Mother」(2010年)が、演技への向き合い方を決定づけた。
「みんなで一つのものを作り上げていくことの素晴らしさを教えてもらいました。最初の作品がこの作品で良かった。そう思える作品でした」
仕事をするうえで、日々大切にしていることはなにか。そう問うと、真っすぐな姿勢の奥にある、彼女の生き方が見えてきた。
「自分ができること、自分がしなければいけないことを一生懸命頑張ること、そして『感謝すること』です。『ありがとうございます』は思うだけでなく、きちんと言葉にするようにしています。多くの人のおかげで自分はカメラの前に立つことができている。そのことをいつも忘れずにいたいと思っています」
(ライター・古谷ゆう子)
※AERA 2020年10月12日号