「コロナ後はカジュアルで安価な商品の多いユニクロやしまむらが比較的好調な一方、百貨店での販売割合が大きなレナウンは倒産し、オンワードの業績は落ち込んでいます。外出自粛やテレワークの普及などで環境そのものががらりと変わり、変化にうまく対応できない会社は倒産や廃業が続く可能性があります」

 テレワークの逆風はオフィス用品や輸送関連にも及ぶ。18位だった鉄道車両専業メーカーの近畿車輛の益田浩・執行役員はこう言う。

「コロナの感染症拡大で鉄道利用者が減少し、顧客である鉄道事業者が投資計画の見直しを行った結果、当社への発注数量の減少、納期の繰り上げにより工場稼働率が低下しております」

 菅氏が標的とした地銀勢も、ダメージを受けそうだ。今回はランク外だったが、80位の大東銀行(福島県)をはじめ、100位までに10行が入っている。前政権から引き継いだマイナス金利政策が収益の下押し要因になる。ゼノ社の分析では、地銀の再編が進むと、わずかながら収益改善効果があるという。

 だが、菅氏の政策はまだ、実行にまで踏み切っていないものも多い。ニッセイ基礎研究所チーフエコノミストの矢嶋康次さんはこう解説する。

「長期政権が続いた後なので、やりやすい面とやりにくい面があるはず。継続的な政策は手がけやすい一方、新しい政策は実際に進めてみないと、どう転ぶか予想できない」

(本誌・池田正史、吉崎洋夫)

週刊朝日  2020年10月23日号

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