個性的な色の下着も、続々と発売された。トリンプの広報、坂田修子さん(41)は語る。

「トリンプの『天使のブラ』が発売された1994年、水色がラインアップにあがりました。当時、きれいな色で珍しいと話題になりました。そのころからさまざまな色が増えだした印象です。あのころ、天使のブラを買った女性たちも今や母親世代。社会的にカラフルな下着を着けることに抵抗はなくなっていったと思う」

 50歳前後では体形も体質も変化する。体に配慮しながら、見た目も「きれい」で機能的なブラジャーも出てきている。ワコールの福岡さんが語る。

「更年期に差しかかるころ、締め付けがきつく感じる体質になり、それまで使っていたブラジャーのワイヤーが窮屈に感じるようになります。弊社の商品では肌に食い込まないよう、ブラジャーの表面にワイヤーを取り付け、伸びもよくしました。脇の肉をすっきり見せてくれるなど体の悩みに対応しながら、おしゃれを邪魔しません」

 機能はさまざまだが、シニアが下着を選ぶ際の一番のポイントはときめきだという。

「商品を一目見てかわいいといった印象で決めるお客様は多い。娘が代わりに買うという高齢者も、初めて手に取って肌触りがいいと、ウキウキするようです」(福岡さん)

 シニアもカラフルでエレガントな商品を選択できる時代になったが、下着革命はそれだけではない。いまはむしろ、「ベージュがおしゃれ」と基本色に回帰する現象が起こっているという。下着コンシェルジュの山田奈央子さん(41)は、ここ10年、国内でもデザインや色がおしゃれなベージュが増えたと話す。

「ベージュでも、上質なレースを使ったインポート物はおしゃれだと以前から注目していました。最近は国内の商品もレース使いがゴージャス。パンツの丈も、へそまであるでかパンより2センチくらい下がっていて、スタイルがよく見えます。色はイメージされるような肌色でなく、くすみのある『ニュアンスカラー』が流行。ピンクベージュやモカっぽいグレージュ、モーブカラーは、はくとおしゃれ。『おばさんベージュ』には見えません」

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