新型コロナウィルスの感染拡大が止まらない。20日の新規感染者数は、東京都が前日から2日間続けて500人を超え、北海道は304人と過去最多。要因には、気温の低下や人の移動の増加、感染対策が徹底されていないことなどが指摘されている。
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そこで、いま猛烈な批判にさらされているのが「Go To キャンペーン」だ。日本医師会は観光支援策「Go To トラベル」を感染者急増のきっかけになったと18日に指摘。東京都医師会の尾崎治夫会長は「一時中止の決断」を政府に提案した。3連休を前に政府の新型コロナ対策分科会でも20日、運用の見直しを提案。政府は21日の対策本部で事業の運用の見直しを決める見通しだ。
川崎、新宿、立川の駅ナカで診療所を運営するナビタスクリニック理事長の久住英二医師は、現状について次のように分析する。
「(感染拡大は)当たり前です。日本のコロナ対策の基本は人の動きを止めることでウイルスの拡散を防ぐというものでした。そういうやり方で第一波、第二波を抑え込んだというならば、人が動きだしたら防げません。いま、東京は電車にしてもコロナ前と変わらないくらいに人が乗っていますし、さらに通勤の範囲を超えて人が移動し始めたら、感染者は増えるでしょう」
実際、久住医師が診察する立川のクリックでもPCR検査で陽性と判明する人が以前は週に1人ほどだったのに対し、最近では一日で2人ほどになり、「増えてきている」という感覚はあったという。
ただ、感染拡大の原因について「Go Toがきっかけ」と明言したことに対しては、「非科学的」と指摘する。
「例えば、北海道で感染が増えた時期のウイルスの遺伝子配列を解析してみて、東京にみられるタイプが多くなっていたのなら、Go Toの人の移動が原因といえるでしょう。根拠となる科学的なデータも示さずに、印象で語るべきではないと思います」(久住医師)
政府や自治体の対策はというと、報道によると政府は当初Go Toキャンペーンは中止しないものの、都道府県知事に飲食店の営業時間短縮要請を検討するよう求めていた。政府の分科会は20日、飲食店の営業時間短縮や休業要請に踏み込んで提言。その前日の19日には、東京都の小池百合子知事が会見し、少人数の小一時間程度の会食を呼び掛けていた。