そんな折、さらなる情報が飛び込んできました。なんと1月31日は「愛妻の日」だというではありませんか。あくまで某大手花卉業者が提唱しているだけのものとはいえ、世の夫たちは10月から1月まで毎月「いい夫でいろ!」「妻を敬え!」と何らかのプレッシャーをかけられていることになります。もしこれが男女逆の構造だったら、日本の秋冬は常に大炎上状態間違いないでしょう。改めてノンケ社会の男たちが不憫でなりませんが、それで奥さん連中が機嫌良くしていてくれるなら「安いもんだ」と思えてしまうのもまた男の性分。ご苦労様です。
そして毎年のように「理想の夫婦第1位」に選ばれ続ける三浦友和・百恵夫妻。山口百恵が引退して今年で40年。友和さんはともかく、世間はもはや百恵さんの何を知っているというのか。これは「理想の夫婦像」に対し世間の思考が停止している証拠です。と同時に、結婚や夫婦というものにあくなき夢を追求し続けてしまういじらしさの表れではないでしょうか。友和・百恵は、日本中の夫婦たちの「祈り」なのです。ご本人たちにとっては迷惑千万な話だと思いますが。
※週刊朝日 2020年12月4日号
■ミッツ・マングローブ/1975年、横浜市生まれ。慶應義塾大学卒業後、英国留学を経て2000年にドラァグクイーンとしてデビュー。現在「スポーツ酒場~語り亭~」「5時に夢中!」などのテレビ番組に出演中。音楽ユニット「星屑スキャット」としても活動する