昨年4月の緊急事態宣言の時の、閑散としたJR渋谷駅前のスクランブル交差点 (c)朝日新聞社
昨年4月の緊急事態宣言の時の、閑散としたJR渋谷駅前のスクランブル交差点 (c)朝日新聞社
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 冬だと換気がおっくうだ。とはいえ、このご時世、空気の入れ替えは、健康面からも気分的な面からもしておきたいところだ。

「単純に窓を開けるのではなく、適切な風の流れを作ることが重要です」

 こう語るのは、札幌医科大学の横田伸一教授。

 外気は冷たく、乾燥している。取り込んだ外気のため、風邪やインフルエンザのリスクが高まったり、心臓に負担がかかったりする。そこで横田教授は2段階換気を勧める。

「まず誰もいない部屋の窓を開けて、空気を入れ替えます。その部屋できれいな空気の温度が上がってきたら、人のいる部屋に送るんです」

 また、体調の優れない人は別の部屋に隔離し、その部屋の空気が居間などに流れないようにする。逆に、高齢者や受験生ら極力感染を避けたい人の部屋に、居間などの空気が流れるのも避けなければならない。

 開ける窓の位置や扇風機の配置を工夫して、空気をうまく流すことが大切なのだ。

 ただ、家庭内でのコロナ対策では、換気以外のことにも注意したい。

 横田教授がこう話す。

「家庭内なら、マスクをするとか食事は別に取るなどのほうが、リスクを下げられます。また、湿度を50~60%ほどに保つことも重要です。飛沫(ひまつ)が遠くに飛んでいかず、落ちますので」

 そうした対策を取ったうえで、先述した換気法を使えば、より効果的だ。

 さてコロナ禍の中での健康維持としてもうひとつ重要なのが、外出だ。

 国立環境研究所の谷口優主任研究員は、身体の衰えと認知能力の衰えの2点を防ぐため、「場所や時間を選んで密を避けて、外に出るべきです」と断言する。

「出会った人と話をしなくても、目を合わせて会釈するだけで脳には大きな刺激になります。車に注意しながら歩く、周囲の風景を見て、『ここにビルが建ったんだな』と思うことも、認知活動のひとつです。歩幅を少し大きく取るように心がけてください。上級者は早足と通常歩行を交互にし、緩急をつけて歩くといいでしょう」

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