アンケートにはこの女性のように、有料コンテンツの転載は違法だと認識しているが、テレビ番組などの無料コンテンツに関しては、営利目的でなければシェアしても問題ないのでは、とする声も少なくなかった。実際はどうなのか。エンターテインメント分野の法律に詳しい、シティライツ法律事務所の平林健吾弁護士に聞いた。
まず、著作権とはどのような権利か、確認しておこう。
「一言で言えば、著作物の権利者以外の人は、無断で利用できない、という権利です」と平林弁護士。基本的に、動画や写真といったコンテンツは有償か無償かを問わずすべて著作物に該当し、著作権法の条文に記載された権利を第三者が無断で行うことは禁じられている。例えば23条の権利「公衆送信」には、ユーチューブなどの動画配信サービスや、ツイッターやインスタグラムなどのSNSに著作物を投稿する行為も含まれる。よって、有料の配信動画や雑誌に掲載された写真はもちろんのこと、無料のテレビ番組の映像やその一部を切り取った画像(スクリーンショット)、タレントのアーティスト写真や公式ブログにアップされている写真などもすべて、許可なくSNSの投稿やアイコン等に使用した場合は、著作権侵害が成立するという。
「『引用』や『付随対象著作物(映り込み)』として許容される事例もなかにはあるでしょうけれど、基本的には、権利制限規定を適用するのは難しいでしょう」(平林弁護士)
著作権侵害の法定刑は10年以下の懲役もしくは1千万円以下の罰金。悪質と判断されれば逮捕され、刑事上の責任を負うだけでなく、さらに民事で損害賠償を求められる可能性があるという。「みんなやっているから」と気軽に考えていると思わぬ結果を招きかねない。
では、動画や写真の利用で、合法と言えるのはどこまでか。平林弁護士によると、「例えばツイッターの『リツイート』や『引用ツイート』は投稿された元の動画や写真にリンクを設定する行為なので、著作権侵害にはならないというのが現状の一般的な理解です。権利者等が正規に投稿したものであれば『リツイート』等されることを前提とした利用規約に同意して投稿されたものなので、権利者の許諾があると評価されるように思います。ただし、違法に投稿された写真を『リツイート』したところ、元の写真が自動的にトリミングされ、もともと表示されていた権利者のクレジットが表示されなくなってしまった事案で、氏名表示権という著作権とは別の権利(著作者人格権)の侵害を認めた判例がありますので、権利者以外が投稿した動画や写真を拡散する行為には注意が必要です」