アンケートでは、自身で購入した雑誌の表紙やCD・DVDのジャケット、あるいは、顔写真が用いられた公式グッズや公式写真を撮影した画像をSNSに投稿する行為の是非についての質問が目立った。
品物に写真が使われている場合は、法律論からすると、基本的にすべて著作権侵害になるという。時折、顔など写真の一部をハートマーク等で隠した画像の投稿が見受けられるが、それで違法性を回避できるわけではない。とはいうものの、「自分が購入したものを好意的に紹介している場合に、権利者がそれを見咎めて責任追及するケースは少ないだろうとは思います」というのが平林弁護士の見解だ。
また、気に入った写真や動画の好きな場面をイラストにする「ファンアート」は違法なのかと問う声も多数寄せられた。平林弁護士によれば、元となる写真や動画をトレースする行為は、「複製」ないしは「翻案」に該当するため、著作権侵害にあたるという。それは「目トレ」と呼ばれる模写であっても同様だ。
一方、「想像で独自の似顔絵を描いてインターネットに投稿する分には、著作権法上は問題ありません」とのこと。だが、イラストの利用に関して、タレントや所属事務所が意思を表明している場合もあるから、確認は必要だろう。
著作権侵害罪は、基本的には「親告罪」で、一部例外はあるものの、著作権者に告訴されないかぎり刑事責任を負うことはない。つまり、権利者が容認していれば、利用しても問題はない。例えば、ビジュアル系エアバンドのゴールデンボンバーは、一部のオフィシャル画像などをSNSで使用することを公式サイトで認めている。
さらに、「本人たちのプロモーションになる可能性もある」(東京都・46歳・会社員・男性)というファンの声も否定できない。動画や画像が拡散され「バズる」ことを、権利者が歓迎しているケースもありうるだろう。
「結局のところ、法律上は侵害にあたるものの、黙認されている領域も大きい」と平林弁護士。罪に問われるかどうかは権利者の判断によって変わるため、どこまでが許されるのか、一律に線引きをすることは困難だ。