「ホームに入る人の多くが、保険的な要素としてこれまでの住まいを残しています。意思決定までにそれだけの時間がかかるからです」

 若い人は、不動産の売り買いは同時に行うのが一般的だが、「シニアの場合は2年ずれと言われている」(池本さん)という。

 不動産に詳しいファイナンシャルプランナーの飯田敏さんも、「(ホーム入居後)とりあえずそのままでもいい」が、「3年」を意識すべきという。

 居住用財産と認定された住まいを売却したとき、その利益が3千万円までは非課税となるからだ。

「これは非常にメリットのある税制ですが、条件が『住まなくなって3年以内』と言われています。介護施設などに入って3年経過した後にさぁ売ろうと思っても対象になりません。3年過ぎると『単純売却』扱いになり保有期間に沿った税率負担となります」

 注意すべき点は、家を壊して更地にした場合だ。

「1年以内に売らないと対象になりません」

 賃貸に出して賃借人による更新などがあり、やむなく3年以上経過した家の売却となったときは、「居住用財産の扱いに該当しませんので、保有期間が5年超であれば、長期譲渡といって、利益に対して20.315%の税率になります」

 例外もある。

「介護もしくは介助が必要な状態でホームに入っていて3年経過している場合は、ホームに入っていても自宅不動産が居住用と判定されることもあります。しかし、いわゆるサ高住に入っている場合はその限りではありません」

 売却のタイミングにも注意が必要ということだ。そして最後までわが家に住み続けたまま老後に必要な資金を調達することができる。本誌読者ならば、土地の評価額をもとに金融機関から融資を受ける「リバースモーゲージ」はご存じだろう。家を担保にお金が借りられる制度だ。

「昔からあるもので、主に土地の部分の評価額をもとにして、ローン完済済みである家を担保に金融機関が融資をします。昔は使い勝手が悪かったのですが、住宅金融支援機構が民間金融機関のバックに入り、ある程度の保証をつけることで、格段に広がりました」(前出の池本さん)

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