首相と野党党首が一対一形式で議論する党首討論が6月9日、2年ぶりに開催される。野党第1党である立憲民主党の枝野幸男代表(57)にコロナ対策などについて聞いた。AERA 2021年6月14日号の記事を紹介する。
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──立憲民主党は、五輪中止という立場なのでしょうか?
東京五輪の開催について私は単純に反対とは言いません。できれば、やりたい。ただそれには「国民の命と暮らしが守れる」という条件がつきます。それができないのであれば、残念だけど中止するしかない。多くの国民も同じ意見だと思います。
私は、大丈夫だろうという根拠なしの楽観論には立たない。政府の入国の水際対策も、Go To キャンペーンも、緊急事態宣言の早期解除もそうです。政府の役割は最悪を想定すること。ワクチンの接種は大事だけれども、本当にワクチンだけに頼っていいのかと思うのです。仮にワクチンが効きにくい変異株が出てこないとも限らないから、同時に医療や保健所の体制を強化しましょう、その上で現時点で想定される近未来でワクチンによる集団免疫が獲得でき、医療を逼迫(ひっぱく)させるような感染の広がりがないと確認されたら、それこそ完全にワクチン一本にシフトしてもいいと。けれども、今はそれだけにシフトするというリスクは取れない状態だと思います。
■現行法でも遮断可能
──政府のコロナ対策について、特措法ではなく、憲法を改正し「緊急事態条項」で対応する必要があるとの声が自民党の一部から上がっています。
現行法でも入国を完全に遮断することは可能だし、さらに強制力のあるロックダウン(都市封鎖)だって十分可能です。ましてや憲法上の制約などない。現行法では足りないのなら法改正を提起すればいいだけ。実は過去の緊急事態宣言は確実に感染者数を減らしていて、効果を上げている。完全にロックダウンした諸外国と比べても、スピードは遅くないんです。
問題はその緩め方。規制が緩かったからリバウンドしているんじゃなくて、緩めるタイミングが早過ぎたからリバウンドしている。ただ、社会的な経済の面からの圧力があって、早く解除せざるを得ない面もあった。つまり、私たちが従来主張している「自粛と補償はセット」しかないんです。