ヒコロヒー(C)朝日新聞社
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 テレビ朝日には「バラバラ大作戦」と呼ばれる深夜バラエティ枠がある。そこで放送されている14番組の中で一番面白い番組を決める第2回「バラバラ大選挙」が行われ、『キョコロヒー』が視聴者グランプリに輝いた。

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『キョコロヒー』は、ピン芸人のヒコロヒーと日向坂46の齊藤京子が出演する異色のダンスバラエティ番組である。テレビのお約束的な馴れ合いを拒否して微妙な距離を保つ2人が、低いトーンで平熱のトークを展開する。取って付けたような「ダンス」の要素も見どころだ。

 レギュラー出演しているこの番組だけでなく、ここ1年ほどヒコロヒーをテレビで目にする機会が増えてきた。ニホンモニターが公開した「2021上半期ブレイクタレント」でも名前が挙がっている。

 それまでほとんど世間に知られていなかった芸人がテレビにたくさん出るようになるためには、何らかのきっかけが必要である。

 代表的な例としては「『M-1』『R-1』などの賞レースで活躍する」「『おもしろ荘』などの新人発掘系の番組で一発ギャグやキャラが注目される」「YouTubeやInstagramやTikTokでバズる」などがある。

 だが、ヒコロヒーの売れ方はこれらのどのケースにも当てはまらない。これといったきっかけがないまま、じわじわと着実に仕事を増やしてここまで来ている。

 彼女に注目が集まった最初のきっかけがあるとすれば、先輩芸人のみなみかわとコンビを組んで『M-1グランプリ』の予選に挑んだことだ。2019年と2020年の二度にわたって出場しているが、結果は3回戦敗退と準々決勝敗退だった。

 通常であれば世間の目に留まらないような戦績ではあるのだが、ネタの内容が注目されて、バラエティ番組などで話題になった。

 このときに2人が披露したのは、女性芸人が日常的に男性芸人からパワハラ・セクハラまがいの仕打ちを受けている、ということを告発するようなネタだった。彼らは男女を逆転させてその状況を再現することで、お笑い界で肩身の狭い思いをしている女性芸人の現状を浮き彫りにした。

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ラリー遠田

ラリー遠田

ラリー遠田(らりー・とおだ)/作家・お笑い評論家。お笑いやテレビに関する評論、執筆、イベント企画などを手掛ける。『イロモンガール』(白泉社)の漫画原作、『教養としての平成お笑い史』(ディスカヴァー携書)、『とんねるずと「めちゃイケ」の終わり<ポスト平成>のテレビバラエティ論』 (イースト新書)など著書多数。近著は『お笑い世代論 ドリフから霜降り明星まで』(光文社新書)。http://owa-writer.com/

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