──9月1日には2年ぶりのセカンドアルバムが発売されます。タイトルは「Beside you」、“あなたのそばに”という意味ですね。

 コロナ禍において、予定していたことがかなわなくなるようなことが続きます。せめてこの楽曲たちだけでもそばに置いていただけたらな、という思いを込めました。

──布袋寅泰さんやトータス松本さんなど、今回のアルバムも豪華な作家陣が曲を提供されていますね。

 ファーストアルバムともまた違うエッジの利いた雰囲気の楽曲も入っています。私をソフトなイメージでとらえている方には少し意外かも(笑)。もちろん穏やかなあたたかい曲も含めて、様々な表情を持った曲が集まりました。

──アルバムのリリースに合わせたツアー「伊藤蘭 コンサート・ツアー2021~Beside you & fun fun(ハート)Candies!~」も開催されますが、9月26日の特別追加公演の会場は、1977年7月にキャンディーズがコンサートを行った、日比谷野音(日比谷野外大音楽堂)です。

 私にとってもファンの皆さんにとっても、とにかく鮮烈な思い出の場所なので、もう少し前だったら多分できないと、言っていた気がします。

──ツアーの特設サイトで特別追加公演に向け、日比谷野音は<私達が解散の意思を公にした場所です。私にとっても当時を知るファンの方達にとってもあまりにも鮮烈な思い出を残す場所なので、このお話を聞いた時は正直迷いました>とコメントされています。野音という場所は、ファンの皆さんを驚かせたり悲しませたりしてしまった場所、という思いがどこかにあったということですか。

 それはそうですね。でも、あえてそこを選びたいというスタッフの熱意も伝わってきましたし、あれから長い時間が経ち、様々な季節を乗り越えてきたファンの方々と私が再び同じ場所で元気に会えたとしたら、やはりそれはもう喜びでしかないなと思いました。

──蘭さんのソロシンガーとしての活動を、ご家族はどのようにご覧になっていますか?

 夫(俳優・水谷豊さん)には「蘭さんは歌をやってほんとによかったねぇ」と、しみじみ言われました(笑)。娘(同・趣里さん)はコンサートを毎回楽しみにしてくれているようです。幼い頃から映像やCDでキャンディーズの存在を身近に感じていたからでしょうか。

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