「あのくらいやらなきゃだめなんだ」

 あの日以来私は変わった。

 そうめんを茹でるたびに、おばちゃんの力強い滑り取りが脳裏をよぎる。

 キンキンのそうめんにキンキンのつけ汁。これで夏を乗り切ろうじゃないか。

 だけど、たまには辛ラーメンが食べたい。

 麺を煮込んで、ネギをたっぷり散らしたら、真ん中に卵を落として、白身に火が通って少し白くなったら出来上がり。

 卵が崩れないように上手にどんぶりに移す。

 そして、黄身を崩さないようにまずは、トロトロの白身と麺をからめて食べる。

 噛みごたえのある麺の食感がいい。

 白身と麺のペアを楽しんだら、ここで粉チーズをかけてもいい。

 ほのかに溶けるチーズと麺のペアもまた、まろやかでコクが出て美味しい。

 最後に黄身を崩して、黄身と麺のペアでフィニッシュ。

 黄身が混ざるとスープの味がかなり変わるので、私はいつも最後の方に黄身を崩して食べるようにしている。

 めったにない、家でひとりメシのタイミング。

 それが私の辛ラーメンチャンス。

 こめかみが痒くなるくらいの辛い刺激で、思いっきり発汗したい!

 こっそりストックしてある辛ラーメンのことを想うと、心がざわつく。

 ああ、次の辛ラーメンチャンスはいつ来るのか。

 辛ラーメンチャンス、略して辛チャン。

 次の辛チャンはどう楽しもう。

 他に足すとしたら、しめじなどのキノコ類、残り物の豆腐、青梗菜も美味しかった。

 バターや豆乳を入れるとまろやかになるし、ひき肉を入れても美味しい。

 検索してみたら、カルボナーラにアレンジするというレシピが出てきた。

 水のかわりに牛乳で煮て、ベーコンと粉チーズを混ぜて、卵黄をトッピングするだけ。

 他には卵と酢を加えてスーラータン風とか、ピーナツバターとパクチーを加えてマーラータン風とか。

 あああああ無限の可能性!

 優しいそうめんに刺激の辛ラーメン。

 両方求める、夏です。

■水野美紀(みずのみき)
俳優。ドラマ・映画・舞台で活躍中。<出演情報>日本テレビ系ドラマ「ボクの殺意が恋をした」に出演中(毎週日曜22:30~)。10月7日から新国立劇場 小劇場にて作・演出・主演を務める舞台『2つの「ヒ」キゲキ』を上演する。レギュラー番組は、フジテレビ系バラエティ「突然ですが占ってもいいですか?」毎週水曜22:00~、読売テレビ「水野美紀の映画生活(シネマライフ)」毎週金曜22:54~<関西ローカル> http://www.ytv.co.jp/cinemalife/

【書籍『水野美紀の子育て奮闘記 余力ゼロで生きてます。』好評発売中】

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