池上:それはありますね。

佐藤:さらに、菅政権を安倍政権と比べると、官邸官僚たちを含めた、いわゆる首相機関システムが弱くなっています。その一方で、菅さん個人への権力主義というのがいっそう進んでいます。そうなると、菅首相と官僚の役割は、相対的には非常に強くなっているんです。

 こういういくつかのパラドックスが、この政権の中にあるわけです。その中で、どう見ても支持はそんなに強くないけど、なかなか倒れない。でも裏返すと、倒れるときは大混乱が起きることになります。そうすると、ある種の脅迫ですよね。国民は問われるわけです。「安定」か「混乱」か、と。大混乱に陥って、むちゃくちゃになって構わないのか、と。それはもうまともな政治じゃないですよね。

■ワクチン接種と給付

池上:10月もしくは11月には総選挙があります。オリンピック後の政治の景色というのが、どんなものなんだろうなと思うんです。オリンピック開催中は、選手の活躍にみんな注目していました。でも結局終わっちゃった後の脱力感とか、虚無感みたいなものが広がるんじゃないかなって、思うんですね。

 スローガン的にいうと、「宴のあとに備えよ」っていうことだと思います。オリンピックという宴が終わった後の脱力感の中で、感染者は広がっている。もうみんながすっかり脱力感でやる気を失っちゃっているというときに、どうやって日本を立て直していくのか。ポストオリンピックをどう築いていくのかという、そういう課題をそろそろ考えていかなければいけないんだろうと思います。

佐藤:解決策を見いだしていかないと、暗黒の中に沈んじゃいますからね。

池上:そのためにも、医療体制の再構築とワクチン接種をさらに加速化させること。デルタ株は2回のワクチン接種でも感染を防げないブレークスルーが起きていますから、イスラエルが3回目の接種を始めているように、日本も3回目を早く構築するということになるでしょう。2回ワクチンを打つと同時に、3回目の準備をしていかなければならない。医療体制を守り、ワクチン接種を広げる。それが国民を守るということですからね。それを大急ぎで再構築しなければいけないと思います。

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