つまり、最も苦しむのは、感染して、息苦しくても病院に受け入れてもらえず、救急車の中で何時間も待たされる人、あるいは自宅にいなければならない人、そして新型コロナウイルス感染症以外の病気や事故で、医療崩壊していなければ助かったのに、医療崩壊のために救急になかなか受け入れてもらえない人です。感染爆発が起こり、保健所も機能せず、入院までに時間がかかれば、症状の重い人はより重くなってしまう。

 そこを理解して、皆さんには自衛のために感染しない行動をとっていただきたいです。

■対策の基本は変わらない

――国内のほとんどのウイルスは8月中旬に、インドで最初に見つかった変異株、デルタ株に置き換わった。従来株よりも2倍も感染が広がりやすく、感染対策がこれまで以上に難しいだけでなく、ワクチンを打っても感染する人が少なくないことがわかってきている。

 確かに、デルタ株のまん延は難しい点です。ワクチンを打てば、もう感染対策をしなくていい、という訳にはいかなくなりました。

 ただ、デルタ株に対して基本的な感染対策が変わるわけではありません。
 
 ワクチンを打つ、部屋の換気をよくする、マスクをきっちりつける、大声で話さない、人との距離をなるべくとる、手洗いをきちんとするといったこれまでと同じ対策です。

 ただし、デルタ株は感染が広がりやすいので、これまでと同じことをしていても効果が落ちてしまいます。そこで、たとえば小中学校であれば休校する、といったように、より強い対策も選択肢の一つとして持っておくことが重要になってきます。

■ワクチンで重症化防げる

――日本よりも早くウイルスがデルタ株に置き換わった欧米では、若い世代でも重症化して入院が必要になる人もいる。

 感染が拡大しやすいデルタ株が流行する中で、高齢者の多くはワクチン接種が終わっており、感染しにくくなっていますが、接種できない子どもや、まだ接種していない若い世代の感染が増えています。感染者の絶対数が増えると、若くて元気でも一定数は重症化します。若い人の重症化が、感染者数が増えたためなのか、それとも、デルタ株に若い人を重症化させるような特性があるのかは、まだわかりません。

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