はっきりしているのは、ワクチンには重症化を防ぐ効果があるという点です。日本では打ちたくても打てないという課題がありますが、12歳以上の人はなるべく早くワクチンを打った方がいいです。
■接種7割の英国の現状
――多くの人は感染対策を取ることに疲れており、パンデミックの前のような日常生活や経済活動を再開したいと願っている。
人口が日本の半数強のイギリスは、成人のワクチン接種率が7割以上になり、7月にロックダウンを解除しました。その結果、今また1日の新規感染者が3万人を超え、死亡者は100人近くになってきています。国民の7割が接種を完了しても、状況は決してよくなったわけではありません。英国では第4波のピークには、1日千人以上の人が亡くなることもあったので、それに比べれば少ないのですが、日本で同じような状況が許容されるでしょうか。
日本はこれまで、第4波の多い時でも、死者は1日100人強でした。
経済を回すためには、1日100人、つまり年間で3万6000人ぐらい亡くなっても仕方ないと考える人の方が、日本社会で多いのか。それとも、それは許容できないと考える人の方が多いのか。
新型コロナウイルスは、残念ながら当面いなくならないので、感染による犠牲者の人数も考えた上で、今後、国内の経済活動の再開をどのようにするかをきちんと議論するべきだと思います。
(構成/科学ジャーナリスト・大岩ゆり インタビューは8月末に実施)
※AERAオンライン限定記事