前田は9月1日(日本時間2日)、右肘のトミー・ジョン手術を受けた。手術は無事成功、復帰に向けて歩み始めているが、じん帯の状態は相当悪かったという。投げ過ぎの声も聞こえるが、マックは今回の手術に対して少し異なった視点からとらえている。
「トミー・ジョン手術をするのは投げ過ぎが原因なのもある。もちろんアマチュアから即渡米すればフレッシュな状態で投げられる。でも米国の投げ過ぎていないような投手でもトミージョン手術をしている。数年先を見越した投資的な意味で手術をやる投手がいるのも事実。契約で守られているメジャーの投手や可能性があるマイナーの若手投手などです。手術は絶対ではないし、失敗する例もあるから選択は選手それぞれです」
「例えば昔の投手もMRI検査をしたらトミー・ジョン手術が必要だった人もいたはず。我慢したり自分のやり方で痛みを軽減したりして投げていた。そうでないと米国ではすぐにクビになる。特にスプリングトレーニングは選手をふるいにかける場所だから、痛いと簡単に言える立場の選手は少ない。だから契約で守られている選手は無理をしなくて良いし手術も受けられる。NPB経由でメジャー契約から挑戦する選手はそういう部分でも有利なはず。自分自身の調整プランを守ることができる。マエケンは米国での将来を考え今の時期に手術したんだと思う」
「アマチュアから即渡米した場合、日本での投げ過ぎは抑えられるかもしれない。英語を覚えたり環境に慣れるのも早くなる。でも成績が出せなければそこで終わり。今は日本人以外の国の選手にも通訳がつく。パフォーマンスを出せばサポートするのが球団の考え。すべてが契約に盛り込まれる。そういった意味で言うと、実績がなくマイナー契約なら仮に故障気味であっても投げ続ける必要も出てくる。結果的に米国で投げ過ぎ状態になってしまう」
高校野球での球数制限などが話題になっている。日本ではアマチュア時代からの投げ過ぎが問題視される。しかし好条件の契約ができなければ米国でも投げ過ぎ状態になる可能性はある。特に若い時期にマイナー契約で米国挑戦する投手はその危険性が高くなってしまう。