
29日、自民党総裁選の投開票が都内ホテルで行われ、岸田文雄前政調会長が選出された。一回目の投票では当初、河野太郎行政改革相が最多になるとみられていたが、結果は岸田氏が河野氏よりも一票多い256票でトップ。決選投票では岸田氏が257票を集め、河野氏の170票を圧倒した。この結果をジャーナリストの田原総一朗氏はどう見たのか。河野氏や高市早苗氏の処遇、次期衆院選での勝算なども含めて聞いた。
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――今日の総裁選の結果をどう見ましたか。
最終的に岸田さんが総裁に選ばれたのは予想通り。でも、一回目の投票で一番を取ったのは予想外だった。
議員票では、高市さんが河野さんよりも上回ったのも驚いた。当初、高市さんはここまで善戦するとは考えられていなかったから。これは安倍(晋三)さんの力がいまだに強いことを示した。
――安倍氏はなぜ今も影響力を持っているのでしょうか。
それはやろうとしていることがはっきりしているから。改憲、戦後レジームからの脱却、日米地位協定の改正、日本的経営の改革とかね。
それに実績もある。中国と戦略的互恵関係を結んで、米のトランプ前大統領が就任した際には一番に会いに行き、ロシアのプーチン大統領とも良い関係を築き、北方領土の2島返還で合意した。
この辺りがわかりやすく、保守から強い支持がある。
菅(義偉)さんが首相になるときも、安倍さんが指名して、それに各派閥の領袖が乗っかった。事実上、安倍さんが自民党を仕切っているところがある。
――高市さんの評価は?
言っていることは、一番的を射ているところがある。日本はいつまでアメリカの子分なんだ、日本は安全保障で主体性を持つべきだ、日本はアメリカと対等になるべきだ、という主張ですね。言っていることはその通りだけど、正直、リアリティーはないね。
それはアメリカが許さないから。実現できないですよ。