AERA Money 2022秋冬号(AERA増刊)

 一方、金融業界は資産所得倍増プランの具体化を待ちつつ、独自に投資家への啓発活動を展開している。

これまで証券会社や銀行のセミナーといえば、経済情勢や市況解説の後に「売りたい商品」を熱心に宣伝するのが定番だった。要は営業目的のイベントである。しかし最近は自社の利益を追わず、純粋にお金の知識の普及に徹するケースが増えている。

たとえば、人気投資信託「ひふみ」シリーズで知られるレオス・キャピタルワークスはユーチューブで「お金のまなびば!」を運営。2021年1月の開設から2年足らずで登録者数は21万7000人超。金融機関としては異例だ。

 昨年1月にアップした「なぜ株価は上昇しているか」は554万再生を記録している。景気がよくないのに株価が上がる背景をカリスマ運用者として名高い藤野英人さんが解説。若者から多くの注目を集めるイェール大学助教授の成田悠輔氏や映画監督の内田英治氏らと藤野さんの対談など、動画は170本を超える。

レオスの深澤祐介マーケティング部長は「資産所得倍増プランに関する動画もいくつかアップしています。多くの人に見てもらいたい」と語った。

 投資優遇制度が拡充される方向にあるのは間違いない。すでに投資信託をつみたてている人も「投資枠が広がったらこれを追加しよう」と今から情報収集を始めよう。もちろん、現在つみたてている「S&P500」や「全世界株式」を増やすだけでも十分なのだが。

(構成/編集部・中島晶子、伊藤忍)

※『AERA Money 2022秋冬号』から抜粋

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