それはそうと、以前から当該ランキングを特に気にしているのは、茨城・栃木・群馬・埼玉のいわゆる「北関東4県」という印象が強いのですが、長年彼らが背負ってきた宿命のようなものを考えると、それは決して不自然ではありません。首都・東京を始めとして、神奈川・千葉を擁する関東圏において「北関東4県」は、常に田舎扱いされ、自虐も含めた「(笑)」的な位置づけで今日まで存在してきました。そんなある種の劣等感が、最近は「怒り」や「傷」に変換される傾向がより強くなっているようで、テレビなどで「茨城」を「いばらぎ」と発音しようものなら、すぐに抗議のメールが寄せられますし、栃木と群馬を取り違えた日には、本気の謝罪が求められることもあり、かなりのセンシティブ・マターとなってきてしまっています。

 話は戻って、「群馬県44位で知事ブチギレ」の件ですが、これはこれで非常に香ばしい話です。これを「香ばしい」と言っている私のような人に対し、知事は怒ってらっしゃるのも理解した上で、それでもやはり香ばしい。積年の恨みつらみに加えて、さしたる根拠もなく漠然としたイメージだけで「魅力度が低い」とか、確かに失礼この上ない。でも、群馬県民の「群馬の名所はイオンです!」とか言えちゃう自虐センス、本当に好きなんだけどなぁ。なのに知事がブチギレ。群馬のプライド水の泡。

ミッツ・マングローブ/1975年、横浜市生まれ。慶應義塾大学卒業後、英国留学を経て2000年にドラァグクイーンとしてデビュー。現在「スポーツ酒場~語り亭~」「5時に夢中!」などのテレビ番組に出演中。音楽ユニット「星屑スキャット」としても活動する

週刊朝日  2021年10月29日号

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ミッツ・マングローブ

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ミッツ・マングローブ/1975年、横浜市生まれ。慶應義塾大学卒業後、英国留学を経て2000年にドラァグクイーンとしてデビュー。現在「スポーツ酒場~語り亭~」「5時に夢中!」などのテレビ番組に出演中。音楽ユニット「星屑スキャット」としても活動する

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