9月に発足したデジタル庁(C)朝日新聞社

 安倍内閣と菅内閣で2度、入閣した平井氏の最大の「売り」は、初代デジタル担当相という看板だ。

◆音声を入手した平井氏の演説とは? 

 一方で大臣時代に週刊文春でNTT接待疑惑が報じられ、朝日新聞には平井氏が請負先企業に対し、「脅しておいた方がよい」「徹底的に干す」などと恫喝した音声が報じられた。

 当時、平井氏は「表現は不適当と思う。今後気をつけていきたい」と釈明した。だが、この日の演説でも、平井氏の口から「圧力」という言葉が飛び出した。

「デジタル担当大臣、デジタル庁をつくるための大臣という仕事は想像以上に大変でした。ぎりぎりのところで踏ん張ってなんとか9月にデジタル庁をスタートできた。それを一緒に作ってきたのが(自民党の)デジタル社会推進特別委員会の事務局長だった牧島かれん。私の跡を継げるのは牧島かれんしかいない。そして、副大臣は小林文明、政務官は山田太郎。この2人も事務局次長としてデジタル庁のプランを一緒に作りました。その3人を私のあとに(デジタル庁へ)入れた。守らないといけない」

 平井氏が人事で尽力したことを強調しつつ、こうも言った。

「いま、私はデジタル社会推進本部長、自民党で最大の圧力をかけられるポストをいただきまして、これから各省に対して、デジタル庁の言うことを聞いてもらうように頑張らなきゃいけない。このデジタル庁は、各役所が嫌がることをやる。この5年で国、地方自治体、全部システムを作り変えるのですから」

 前出の自民党県議がこう打ち明ける。

「平井氏の上から目線な発言は地元の演説では珍しくないが、(今回の発言は)大丈夫だろうか。地元の香川県議会でも、自民党県議団が2つに分裂している。地元で不安視しており、県連会長として収拾にあたるべきなのに平井氏は『地元でやってほしい』というばかりです」

 対抗馬の小川氏に映画「なぜ君」に対する平井氏の批判について取材を申し込むと、「投票箱のふたがしまるまで頑張るだけです」とコメント。

 平井氏の地元事務所に発言について取材を申し込むと、「(演説会の内容について)いちいち聞かれても困る。こちらではわからない」との回答だった。

 映画で日本一の注目区となった香川1区はヒートアップしている。(AERAdot.取材班)

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