私はラブソングを自分で書いたり歌ったりするのが苦手です。(子どもの頃から)ずっと働いて生きてきたので、ラブソングを書けと言われても戸惑ってしまう。初恋もアニメのキャラだと思うくらい。ここではペットの猫に対して歌いました。つれない子猫ちゃんに「こっちを向いて」って(笑)。
■歌詞を書き自分を探る
──今回のアルバム制作を通して発見したことはなんだろう。
自分のことですね。シャイなことにあぐらをかいて、すごく楽をして生きてきたなと思いました。歌詞を書くということは自分を探る作業。自分が言いたくないことがいっぱい見えてきました。目の前に伝えるべき言葉があるのに、ノートに書けない。どこかカッコつけたくて、この言葉は選びたくない、でも、これが一番本質をついている。そのせめぎ合いによって、自分の情けないところを知ったと同時に、そんな自分がすごくいとおしくなりました。「かわいいじゃん、私」って(笑)。
(構成/フリーランス記者・坂口さゆり)
※AERA 2021年11月8日号