
ドラマでは、弁慶が主君である義経を逃がすために衣川で仁王立ちになって、矢が刺さろうが切られようが、たーんと立ったまま死んでいく姿でフィナーレだったんですね。そのときの目と顔のすさまじい迫力。自分の殿を体を張って守るっていう魂の姿は忘れられないです。
弁慶という役は、吉右衛門さんにとって自分とイコールだったのかもしれませんね。その相手役の義経をやらせていただけたことを光栄に思います。僕は吉右衛門さんに教えてもらわなかったら、この道でここまでやってこられなかったかもしれない。感謝しかないです。
まだまだ色々な役を演じていただきたかったので非常に残念ですが、今は天上の世界に行かれて、光いっぱいのところでゆっくり休んでくださいと言いたいです。
(構成 本誌・大谷百合絵)
※週刊朝日オンライン限定記事