星友啓さん(提供)
星友啓さん(提供)

 タバコ休憩のメリットとして、前出の男性は「外に出て、気分転換になるというのが1番大きい」という。さらに、別の20代会社員の男性は「オフィスではなかなか話しかけづらい年上の人にも喫煙所ではたばこという共通の話題があるので話しやすい」とメリットを挙げた。

「喫煙所が外にある場合、そこまで歩いていかなければいけなかったり、近くに木が植えてあったりすることもありますし、喫煙所でコミュニケーションが生まれるということもよく言われます。そう考えると、タバコ休憩にはタバコ以外に充実した休憩の要素がふんだんに入っているので、良い休憩だと思っている人が多いのかもしれません。ただ、タバコがなくても良い休憩方法であることも事実です。吸わない人も10~15分くらい休憩があれば、自然が見えるところまで少し歩いて行ってみるというのを実践してみるといいでしょう」(星さん)

 星さんは、仕事における休憩の重要性について、こう語る。

「休憩というのは、集中力やパフォーマンスの向上という意味ではとても重要です。アメリカのあるIT企業の調査では、成績優秀な社員は52分の仕事に対して、17分の休憩をとっているとの結果が出ています。他にも、心理学や脳科学の分野で休憩については様々な研究がなされていますが、おおむね30分から1時間に対して、5~15分の休憩が良いという結果が出ています」

 星さんによると、「基本的に、人間の脳はそんなに長時間集中を保ち続けられないので、適切なタイミングで休憩を挟むことが生産性向上につながる」という。

「現代社会では、成果を残そうと休憩時間を削って長時間働くという人も多いかもしれません。しかし、長期的な面で見ると実は逆。パフォーマンスが高い人の方がより休憩をとっているということが分かっています」

 喫煙歴24年の東京都内の会社員男性(44)は「タバコ休憩」についてこう話す。

「私の場合、1時間仕事をして10分~15分間の『タバコ休憩』を挟むというのが、ルーティンになっています。喫煙が自分にも周囲の人にも害を与える行為だということは理解していますが、この繰り返しが仕事の生産性や職場の人間関係向上につながっていると感じています。屋内の喫煙所は望みませんので、これ以上、屋外の喫煙所を減らしてほしくないというのが本音です」

 喫煙者と非喫煙者を分断するのではなく、共により良い休憩の形を考えていくことが、仕事の生産性向上につながりそうだ。(AERAdot.編集部・大谷奈央)