愛子さまが成年を迎えた12月1日、成年にあたってのご感想の文書が公表された。この文書に加え、これまでに書かれた作文などから見えてくるのは、確かな文才とぶれない姿勢、そして人柄だ。AERA 2021年12月20日号の記事を紹介する。
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「愛子内親王殿下ご成年に当たってのご感想」が12月1日に公表された。愛子さまは、ぶれない。読んでわかったことだ。
20年を振り返り、多くの人々への感謝を綴(つづ)った愛子さま。これからのことは、こうあった。
<成年皇族の一員として、一つ一つのお務めに真摯に向き合い、できる限り両陛下をお助けしていきたいと考えております。そして、日頃から思いやりと感謝の気持ちを忘れず、小さな喜びを大切にしながら自分を磨き、人の役に立つことのできる大人に成長できますよう、一歩一歩進んでまいりたいと思います>
■通底している価値観
愛子さまらしいな、と感じた。言葉遣(づか)いやトーンに見覚えがあったのだ。少し考え、学習院女子中等科の卒業記念文集に愛子さまが書いた作文「世界の平和を願って」を思い出した。
修学旅行で訪れた広島を書いたものだが、「感想文」ではなく、「平和論」になっている。「ご感想」と特に重なると感じたのは、ほぼ最後のこの一節だ。
<空が青いのは当たり前ではない。毎日不自由なく生活ができること、争いごとなく安心して暮らせることも、当たり前だと思ってはいけない。なぜなら、戦時中の人々は、それが当たり前にできなかったのだから。日常の生活の一つひとつ、他の人からの親切一つひとつに感謝し、他の人を思いやるところから「平和」は始まるのではないだろうか>
「空が青い」は作文の書き出しを踏まえていて、巧みな構成なのだが、ここでは「ご感想」との重なりを見てみる。文字遣いはやや違うが、共通する言葉がある。「一つ一つ」「感謝」「思いやり」だ。「日常の生活一つひとつに感謝し」という表現は、「ご感想」の「小さな喜びを大切にしながら」に重なる。
通底しているのは、「小さなことを大切にし、互いを思いやり、努力を積み重ねる」といった価値観だと思う。そういう営みへの信頼感がトーンとなっている。それが平和への道で、成年皇族の日々。言い換えるなら、成年皇族の道は、平和に通じる。愛子さま、深い。